大切な人と家で過ごす、穏やかで優しい時間。がん末期のご家族を支える「3つのコツ」
訪問看護ステーションソラーレ 山本です。
「住み慣れた我が家で、最期まで自分らしく過ごしたい」 そう願うご家族を自宅で迎えるとき、「自分にちゃんと看病ができるだろうか」「苦しそうにしたらどうしよう」と、大きな不安を抱えてしまうことがあります。
特に、がんが進行して残された時間が短くなってきた時期のケアは、体だけでなく心の変化も大きく、戸惑うことも多いかと思います。
しかし、家でのケアで一番大切なのは、難しい医療の知識や、完璧な看護をすることではありません。それは、私たち訪問看護師やリハビリ、医師など医療従事者の仕事です。
ご家族にしかできない最も大切な役割は、「本人が安心できる環境と、穏やかな空気を作ること」です。
今回は、ご自宅で大切な方をケアするときに、今日からできる「3つのコツ」をやさしくお伝えします。
コツ1:食事は「本人のペース」に任せる(無理に食べさせなくていい)
病気が進むにつれて、だんだんと食欲が落ち、水分も摂れなくなっていくことがあります。 ご家族としては「一口でも食べて元気を出してほしい」と願い、無理にでも食べさせたくなるものです。しかし、実はここに気をつけたいポイントがあります。
体がだんだんと眠りにつく準備を始めると、お腹の臓器も一緒に休むモードに入ります。この状態で無理に食べたり飲んだりすると、かえって胃がもたれたり、気持ち悪くなったりして、体が苦しくなってしまうのです。
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ケアのポイント: 食欲がないときは、無理に勧めず「食べたいときに、食べたいものを、食べられるだけ」で十分です。アイスクリームの一口、果物のジュース一滴でも、本人が「美味しい」と感じられればそれだけで十分です。
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お口の乾燥対策: 「何も飲まなくて喉が渇かないの?」と心配になりますよね。その場合は、小さく砕いた氷を口に含ませたり、濡らしたガーゼで唇や口の中を優しく拭いてあげたりするだけで、喉の渇きはしっかりと癒やされます。
「食べないこと」を心配するのではなく、「いまの体が必要としていないんだな」と、優しく見守ってあげてください。
コツ2:言葉がなくても伝わる「触れる・寄り添うケア」
病気が進むと、うとうとと眠っているような時間が増え、会話が難しくなることがあります。話しかけても返事がないと、「もう自分の声は届いていないのかな」と寂しくなるかもしれません。
しかし、人間の五感の中で「耳で聞く力」は、最後までしっかりと残ると言われています。声に出して返事ができなくても、ご家族の声は本人の心に届いています。
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ケアのポイント: そばにいるときは、今日あったことや、楽しかった思い出などを、普段通りの優しい声で話しかけてあげてください。耳元で小さく声をかけるだけでも十分です。
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触れることの効果: 手を優しく握る、背中や足をさする、といった「触れるケア」は、言葉以上に本人の安心感に繋がります。ご家族の手の温もりは、どんなお薬よりも心を落ち着かせる効果があります。
「何か気の利いたことを言わなきゃ」と構える必要はありません。ただ隣にいて、手を握っているだけで、それは立派なケアです。
コツ3:小さな変化に気づくために「普段の姿」を見る
ご自宅でのケアで一番怖いのは「急に状態が変わったらどうしよう」という不安ですよね。 体調の変化に早く気づくために必要なのは、難しい医療の知識ではありません。「いつもと何が違うか」を見つける、ご家族の目です。
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見るポイント:
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表情: 眉間にしわが寄っていないか、辛そうな顔をしていないか
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呼吸: 息が荒くなっていないか、肩を上下させて息をしていないか
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声: 苦しそうな声を上げていないか
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もし「いつもと違って苦しそうだな」と感じたら、我慢せずに利用している訪問看護師さんに連絡してください。
訪問看護師は事業所にもよりますが24時間、いつでも対応できる準備をしています。「こんな小さなことで連絡していいのかな」と遠慮する必要はありません。その「小さな違和感」を教えていただくことが、本人の苦しみや痛みを早く取り除くことに繋がります。
最後に:一番大切なのは、がんばりすぎないこと
大切な人のケアをしていると、どうしても自分の睡眠や食事を後回しにしてしまいがちです。しかし、ご家族が疲れ果てて倒れてしまっては、元も子もありません。
家でのケアは、ご家族だけで抱え込むものではありません。 医師、訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなど、たくさんの専門家がチームとしてあなたを支えています。
つらいときは「つらい」、休みたいときは「休みたい」と、遠慮なく周りに頼ってくださいね。ご家族が笑顔で、少しでも心にゆとりを持って過ごせることが、本人にとっての一番の特効薬です。
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